Stray Cat Blues(Pt.2)

『オイ』
「えっ、何だ今の声は。周りには誰もいないよな。まさか……」
「ねぇ、どうしたのタカシ。なに急にぶつぶつ言ってるの?」
「……あ、ゴメン。何でもない。」

『オイっつってんだろ。ココだよ。』
「あっ、うわぁ!
またオマエかよっ ここんとこしょっちゅう現れて……もう勘弁してくれー
……いや、違う。これはあきらかに幻覚だ。だいたいネコが喋るハズがない!」
『それが喋るんだなぁ、オレは。それよりアンタに話があるんだよ。』
「ちょっとぉ、タカシさっきから何言ってんの? ネコがどうかした?」
「えっ……ちょっと聞きたいんだけどさぁ、そこのベンチにネコ、いないよな?」
「……大丈夫? ネコなんかいないわよ。なんなら座ってみる?」
『女とデートかぁ。いい身分だな。それよりちょっと話があるんだが』
「いや……やはり俺の幻覚だ。聞こえない、聞こえないっと。」
「???」
「いやー ネコいないならいいんだ。さぁ、そろそろ帰ろうか。」
「えー、だっていま来たばっかりよぉ。もうちょっとゆっくりしましょうよ。」
「ハハハ、ココ空気悪いからね。じゃ行こうか。ちゃんと送ってくからさぁ。」
「そう? むしろすがすがしい空気だけど……あっ、ちょっと待ってよぉ、急に歩き出しちゃって、タカシやっぱり何か変よ」

『オイッ』
「ヒイッ、またきた!」
「もぉ~ さっきから何よっ」

『いい加減、人の話を聞いたらどうだい』
「うわぁぁっ ごめんなさい! ごめんなさい! 勘弁して下さいっ」
「ちょっとタカシ、なに謝ってるのっ」
『いや、そうじゃなくて、ちょっと話が…』
「わかりましたぁっ 何でも言うことききますから、もう出てこないで!」
「何よぉ、出てこないでって! タカシが誘ったんじゃないのっ」

『なんか勘違いしてるようだが……まぁいいか。
実はこんどの土曜日に「柳太郎の会」という落語会があってだな、その宣伝を……』
「わかった、わかりました! その落語会に行きゃあ二度と出てこないんですねっ
ネットで検索して必ず見に行きますから! ありがとうございました! さよならー」
「タカシ、どこ行くのよ! もー何なのアイツ……あっ、ちょっと置いてかないでよ!」
『オイッ、話はまだ終わってないぞ、このチケットで……って、行っちゃったよ。
ま、いいか。フフフ……これで10人目だな……』
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「おおボス、そこにいたんですか」

『いつもすまんのう。 ン? 今日は何だ?』
「今日はご馳走っスよ! スーパー行って、とっておきのホタテの刺身を仕入れてきました。
いやぁ、おかげさまで落語会の問い合わせがバンバン来ちゃって……って、聞いてます?」

『ング…ング…ああ、聞いてる聞いてる。
いやー やっぱりホタテが一番だな! ……ング……ああ、ご馳走さま。美味かったよ。 ンン、何だな、こんどは初ガツオでも……』
「ダメですよ! そんな高級なもの毎回毎回……オレよりいいもん食べてるじゃないですか。普段はネコ缶にして下さい。
そらそうと、またお客さん引っ張って来て下さいよ。初ガツオご馳走しちゃいますから!」
『ああ、任せなさいっ ……柳太郎さんも大変だね。じゃあ、そういうことで。』
「あっ、ちょっと待って下さいよ。あの……素朴な疑問なんスけど、ボスって何で人の言葉が喋れるんですか……?
あといつも暗闇に消えてきますけど、家はどこなんですか? 」
『……命が惜しかったら余計な詮索はしないことだな。』
「ウヘッ」
『質問といやぁ、オレも聞きたいことがあるのだが』
「何です?」

『落語って聞いたことないけど、面白いのか?』
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さあ、そんな疑問を抱いちゃったアナタ! ぜひ生の落語を体験しちゃって下さい。
ご来場、お待ちしてます。
最後に6月下席・浅草出演の予定もどうぞ。
★『第38回 柳太郎の会』
2013年6月8日(土) 午後6時開場 6時30分開演
場所:お江戸日本橋亭(03-3245-1278)
入場料:2000円 (全席自由)
問合せ:090-7279-0093
出演:春風亭柳太郎
一龍斎貞寿
春風亭昇吉
三遊亭小曲
※次回『柳太郎の会』は2013年10月12日(土)に行います。
(時間・場所は同じ)

●浅草演芸ホール 6月下席前半 (6/21~6/25)
11時45分~21時
☆柳太郎出演時間:12時30分~12時45分
(※出演日・出演時間は予定です。 時間変更・休演する場合がありますのでご了承下さい。
御来場の際はお手数ですが、あらかじめお問い合わせ下さいますよう、お願い申しあげます。)
◆上記問合せ:090(7279)0093 柳太郎